お知らせ

2023.02.21 お知らせ

図書館通信 9号

図書館ホームページ9

こんにちは。図書館です。

2月の節分もはや過ぎて、図書館では現在お雛様が飾られています。

毎年この時期になると校長先生のお雛様を館内に飾らせてもらっています。

司書さんもこれに合わせて飾り付けをしてくださり、来館してくれた人には華やいだ雰囲気を感じていただけるのでは

ないでしょうか。写真で御覧ください。・・・・「いきいきとほそ目かがやく雛(ひいな)かな」 飯田蛇笏

 

さて、今回紹介する本は・・

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子 新潮文庫)

本書は日本近現代史を専門としている著者が、栄光学園の中高生に対して行った5日間の講義をもとに書かれたものです。

いや~面白い。構成は序章を含めて全6章。序章で歴史を考えるとはどのようなことなのかを述べて、

各章ごとに「日清」「日露」「第一次大戦」「満州事変と日中戦争」「太平洋戦争」と進めていきます。

何が面白いのか。

当時の資料を丹念に読み解くことにより、まるでジグソーパズルのピースを正しい位置にはめ込み

全体像を浮かび上がらせていくような、研究者としての透徹した視点と冷静な思考力。

大事なところで、絶妙な質問を投げかけ、生徒たちの知的好奇心と想像力を引き出していく教育者としての手腕。

生徒からの答えを的確にさばき、確かめ、補い、正しい方向に導いていくナビゲーターとしての確かさ。

いやいやこれだけではありません。生徒とのやり取りの中から漂ってくる生徒への信頼と、期待。

著者と生徒たちが手をつないで、高い山を登っていく(より良い未来の姿を創造していく)ような、そんな本です。

歴史に興味のある人、現代社会の成り立ちと将来を考えたい人、読んでみて下さい。

続いての本は・・・「歴史」繋がりということで、歴史小説を紹介します。

『冬の鷹』(吉村昭 新潮文庫)

『解体新書』の翻訳をした人物といえば、真っ先に思い浮かぶのは「杉田玄白」ですよね。

歴史に詳しい人なら「前野良沢」の名前も出るかもしれません。

本書の主人公はこの前野良沢です。玄白の影に隠れ『解体新書』の実質的な翻訳者でありながら、

その名誉を玄白に譲った人物。一途な学究肌で何よりも完璧を求める孤高の蘭学者。

一方杉田玄白はどちらかといえば明るく社交的。人間関係を巧みに調整する名マネージャーであり、

世知に長けたプロデューサーとでも言える蘭学医。

本書は、良沢を中心に据えつつこの二人を対比的に描いていきます。歴史の陰に埋もれていった人物を

丁寧に掘り起こす吉村文学の傑作、ぜひご一読を。

作者には、日露戦争の講和会議に臨んだ外相・小村寿太郎の苦悩を描いた『ポーツマスの旗』

2022年本屋大賞「発掘部門」で「超発掘本!」を受賞した異色長編『破船』(読みようによっては

ホラー小説よりも怖い)など、歴史の裏側、いや歴史にもならなかった人々の人生が描かれた作品が沢山あります。

それは人生のサンプル。血の通った哲学。何よりも人間に興味のある人は、きっと楽しめる、いや考えさせられると思います。

今回紹介した本、全て文庫本。図書館にあります。

 

こんな記事見つけました。

「店内放送の音量、照明控えめ」「『静かな時間』感覚過敏に配慮」 (読売新聞 2023年2月14日)

商業施設などで、店内放送の音量や照明を控えめにする取り組みが広がっている。時間帯を区切り、

「クワイエットアワー」(静かな時間)などと名付けて実施するケースが多いようだ。(リード文)

記事は、札幌市のドラッグストアとおたる水族館の様子を伝えています。

前者は毎週土曜日午前9時から1時間、BGMを無くし照明の光量は通常の半分程度といったクワイエットアワーを実施しています。音や光などに敏感な「感覚過敏」の症状のある人たちへの配慮です。

後者は、「音のない水族館」と冠した取り組みを昨年から不定期に開催しているそうです。

聴覚過敏の息子を持つ人から寄せられた「大音量のイルカショーだけは見ることが出来ない」とのメールが契機となりました。

「感覚過敏」は見た目ではわかりません。だからワガママと誤解されることも多いと言います。

このような人たちにどのように寄り添うのがよいのか、皆さん!どう考えますか。

ちなみに「おたる水族館」は、イルカたちの演技をお客さんにマイク無しでどうやって伝えているのでしょう。

興味のある人、図書館へどうぞ。この記事、図書館の新聞コーナーで読めます。

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