お知らせ

2025.02.03 校長通信

校長通信43号(最終号)

 皆さん こんにちは

 2017年から書かせていただいた校長通信でしたが、早いもので8年目となり、第43号となりました。校長職を拝命して10年、これを節目として一旦筆をおこうと思います。

 今回は本校の歴史や伝統にふれながら、鶴高が大事にしてきたことを中心に、お話をしたいと思います。

 

 鶴高は昭和26年世田谷区下馬の地に開校し、その後、生徒数の増加とともに、現在の杉並区和泉に移転しています当初は学校規模の拡大路線を走り、二部制をとっていました。しかし、次第に15歳人口減少これから令和12年にこの波がきますという難局に直面することになりましたそれを受けて、昭和43年に二部制廃止となりました。

 二部制時代の鶴高にてご尽力いただいた、当時の教諭が残した言葉(注1)に象徴されるのが「愛情教育」です。鶴高の全教職員が、今もなお生徒達に対し強い想い温かい愛情を持ち続けていることは、鶴高の善き伝統です。この伝統が脈々と受け継がれてきたことは、鶴高一筋43年の私が生き証人として証言しましょう

 また、同時期には芸術課程(美術科・音楽科)を併設し、日本大学芸術学部との7年一貫教育がスタートしていま。輩出した卒業生たちの中には、多方面で世界的に活躍している方が大勢います。現在この芸術課程はありませんが、芸術学部の進学率が他校に比べて高いのも、鶴高の伝統として納得出来るような気がします。

 

 近年コロナ禍を契機に急速なデジタル化への対応を求められる場面が増え、従来のやり方では解決困難な様々な課題浮き彫りなってきたと感じています。また、そうした変化は教育の在り方にも求められてきましたしかしポストコロナ期に進められてきた教育改革は、残念ながらそのほとんどまだ目に見える形として効果が出ていません。

 だからこそ、特にこれからの鶴高生達には、唯一無二の物差しをもち、自分を信じ、幸せな道を切り拓いてほしいと切望しています。万民がみているネットの情報に満足しないで、選んで手に取った情報を『読み』考えを深めて欲しいと思います。

 一万年前からほとんど変わらない、素晴らしい脳を使わない手はありません。その脳を磨くのは『本』です。人間であるすばらしさを、自身で感じて歩んでいってください。

鶴高生・未来の鶴高生・同窓生・全教職員

 

(注1)当時を振りかえって米本一夫教諭は「陰に咲いた花」に例えて、30周年史『道標』に寄稿している。・・・部生徒が激増し、その対策として教育もシステマチックになり、教師と生徒の間が次第にシビアになってゆくと当然のことながら、その結果として授業についてゆけない、オチコボレの生徒が出はじめる。それらの生徒を愛情教育を標榜する日本大学の理想とその精神が見すてるはずがなかった。おちこぼれ、傷心のうちに学校を去らねばならない生徒に救いの手が差し伸べられるのである。・・・鶴高自体も、発展・成長を誇っているが、その陰に咲いた一輪の隠花であった二部』の存在を忘れてはいけない。」

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